スーパーへ買い物に行きます。有り余るほどの豊富な品ぞろえ。加工品・日用品は言うまでもなく、生鮮食品・日配物がさっきとれたばかりできたばかり!とでも言うような姿で、整然と並んでいる。目的のものがなかったという記憶があまりない。季節外れの果物なんかも当たり前のようにあったりして、これって本当に売れるのかいな・・・。
閉店間際に駆け込むことがある。後10分もすればシャッターが下りてしまうのに、店内にはまだまだ食品がたくさん残っている。弁当惣菜などは異常な値引きによって残りがわずかだが、野菜・鮮魚・牛乳・ヨーグルト・パンなど日付けを気にする商品が多く残っている。後10分で売り切れるような量ではない。まあ、表示が消費期限となっているために明日も引き続き販売はするのであろうが・・・。
とにかく、目がちかちかするほどの品ぞろえに閉口する。こんなに容易に色んなものが手に入っていいのだろうかと、恐ろしささえ感じる。特に生鮮品はデイリーフーズという扱いで、毎日毎日「新鮮」を売り物にするのであるから、やはり残り物は廃棄される運命になるのであろう。年間の食物廃棄量が世界の相当な上位国で、恐ろしいほどの食品がゴミとなっていく。品ぞろえは増やせば増やすほどそのロスも増えるのである。品揃えが悪ければ客が離れてよそへ行ってしまう。仕方ないから客の小さな要求にもこたえようとして商品が増えていく。たった一人の客のためにでも増やすのである。客なんて―のはいい加減だから、買ったり買わなくなったりそのうち来なくなったり・・・。不良在庫がどんどん増えて、店の利益を圧迫する悪循環。
昔、喫茶店をやっていたことがありました。最初はこだわって「おいしいコーヒー」と「スペシャルカレー」の店であった。そのうち客がサンドイッチはサラダはパフェはフレッシュジュースはホットケーキは・・・・と言い始めて、留まるところを知らない。一人でも多くの客がほしくて客の要求に応えるべく、メニュ―がどんどん増えていった。まさに有り余るほどのめそのためのメニューとなっていった。材料、仕込みもどんどん増えた。しかしそれに見合った注文はこなかった。それらが全てロスとなって、最終的には赤字を出すようになった。これが喫茶店が世の中から消滅していった大きな原因である。
今日本はあらゆることが「有り余って」いる。そこから抜け出るためにますます有り余ったことを上塗りしていく。やがてはその重みと厚みに耐えかねて崩壊する運命にあるのだが、もうどうにも止まらないのである。贅沢をした者は質素には戻れない。地球全体がそのような方向に突き進んでいく。はたしてその成れの果ては・・・