いつの間にやら秋が過ぎて、もう冬なんでしょうか。初冬?なんでしょうねえ(関東の季節感が未だにうまく感じ取れません)・・・柿の紅・林檎の赤を見ていると、昔なつかし光景がよみがえってきます。幼少期から中学卒業まで、私は北海道は札幌で過ごしておりました。(1957~1972)11月は北海道はもちろん冬です。この時期、雪虫というのがふわふわとどこからともなく降りてきて、「もうすぐ雪が降ふりますよー」と伝えに来るんです。お尻にふわふわの、それこそ粉雪のような毛をまとって・・・
オート三輪(3丁目の夕日に出てくるパタパタ走るあれです)があっちゃこっちゃ走り回っておりまして、荷台には石炭が山盛りになっておりました。当時の冬の暖房は石炭ストーブです。石炭を「ほおばる」大きな口と煙を「はきだす」長い煙突と、存在感あふれる冬の王様!家々の台所(そのころの家は台所が独立しておりました)の床下には「むろ」という地下室がありまして、そこに石炭を、一冬分の石炭を貯蔵するんです。炭やさん(燃料店のこと)がそれこそオート三輪で運んでくるんです。炭やさんのおじさんは前掛けをして、みんな鼻のあなが真っ黒だったなー・・・荷台から大きなざるに石炭を盛って「あらよっと」と担いで、家の「むろ」まで運んでくれる。後ろ向きで「むろ」に石炭を落としていく。何十回も往復してやがて「むろ」が石炭でいっぱいになる。それを飽きずにずーっと見ていたんですね!なんせ「心待ち」にしていたことですから!
コンビニエンスの時代になり、何でもすぐ手に入る。スウィッチ一つで、あるいは全てオートマティックで事が足りていく。ますます、わくわく・どきどきがなくなっていくんだろうなー・・・冬の訪れを知らせる「心待ち」にしていた出来事のお話でした。せめて、今年のクリスマスは「心待ち」になるよう、演出してみませんか!