旧・音気楽ブログ

弘法 筆を・・・の続き

で、ピアノの話と弘法がどう結びつくのか?私の本職であるピアノの調律は、違うピアノとの出会いの連続です。状態も分からないし所有者のことも分からない。伺って初めてお目にかかる。ちょっとドキドキしたりして・・・。面白いことに、玄関に入った途端にある程度予測がつきます。持ち主さんの顔が見え、表情や声色などでどんな家庭なのかがある程度分かります。そして、その玄関の靴の状態で家の中がどのようになっているかも予想がつきます。後は、スリッパの状態、そしてその家のにおい!ヤーなにおいがすると、ピアノのコンディションがあまり良くないだろうなー・・・予想は当たる。
暫く、調律してなくって―・・・はいはい、ではちょっと拝見。メーカーは?製造年は?最終調律年は?などピアノの中に保存されているカードで大まかな情報をつかむ。カードを取り出す時、天屋根を開けますが、この時だいじなチェックポイントは「匂い」です。中の状態を判断するのにかなり参考になります。黴・錆の判断ができます。一音出してみる。(この時結構緊張です)。続けて2音3音・・・ふーむ・・・ペダルも踏んでみる。その時点で、かなりの状況を把握します。ま、その辺の話は前にも書いたような気がするし、続きは別の機会に。

で、「弘法」との関係はどうなったかというと、手を入れたピアノはどこのメーカーであれ、どんなに古い物であれ、安いものであれ「5分」弾いていると、それなりに素敵な音がでるようになるんです。其々の其々な状態をうまくコントロールしてあげると、どんなピアノもそれなりになる。もちろん、弾き方は変えなければなりませんが・・・なので、私にとってはメーカーとか高い安いとか新しい古いとかいうことはあまり関係なくなっちゃうんです。よく、どんなピアノが好きですか?とかどんなピアノが良いと思われますか?とか聞かれるんですけど、私にとっては全部いいんです。「弘法 筆を選ばず」です。私、工房の弘法です・・・・・・・・・・・・